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フルスペクトルLEDシステム

(株)桜井屋灯具店では、下記事業を展開しています。
・オリジナルプロダクトの企画・設計・製作・販売
・特注照明の設計・製作
・他社既製品照明の卸販売・2次加工
・アンティーク照明の修理・復元
・輸入照明の日本仕様への組み替え及びPSE適合加工
・照明計画設計

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・特注照明について
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・会社概要
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フルスペクトルLEDシステムとは?

フルスペクトルLEDシステムとは、可視光から近赤外まで可変波長をカバーするLED素子と制御技術を組み合わせ、太陽光に近い連続スペクトルを人工的に再現できる統合照明ソリューションです。単一色温度や固定スペクトルのLEDと異なり、用途や時間帯、ユーザーの生体リズムに応じて波長分布を自在に調整し、視覚的快適性だけでなく生理・植物・動物への影響まで最適化します。オフィスや医療、農業、商業施設、美術館など多彩な空間に適用され、健康や生産性、演色性、育成効率を同時に高める次世代照明プラットフォームです。

背景と市場動向

近年、ウェルビーイング(健康・快適性)重視の潮流が世界中で加速しています。長時間屋内で過ごす人々の生体リズムや集中力、免疫機能に照明スペクトルが与える影響が科学的に解明され、従来の「明るさ」だけを追う時代から「質の高い光」が求められるようになりました。
同時に、植物工場や水耕栽培など次世代農業市場が急速に拡大し、波長を細かく制御できるフルスペクトルLEDが作物の光合成効率向上に不可欠な技術として注目されています。医療分野でも術後回復を促す照明や、認知症患者の生体リズム支援用ライトとして導入が進んでいます。

システム構成の全体像

フルスペクトルLEDシステムは大きく「ハードウェア」「制御ユニット」「ソフトウェア」「サービス」の四層から構成されます。

  • • ハードウェア
  • •複数波長のLEDチップ(UV〜近赤外)
  • •熱管理用ヒートシンク/ファン
  • •光学レンズ・ディフューザー
  • • 制御ユニット
  • •ドライバー:電流・PWM制御対応
  • •スペクトルミキシング回路:各波長チャンネルごとの輝度制御
  • •ネットワークインターフェース:DALI、0–10V、Modbus、Bluetooth Mesh、Wi-Fi
  • • ソフトウェア
  • •タイムベース/スケジュール制御
  • •スペクトルプログラムエディタ
  • •生体リズム・植物育成モードのプリセット
  • •遠隔監視/データロギングダッシュボード
  • • サービス
  • •現地調査・要件定義
  • シミュレーション設計(スペクトル解析・照度分布)
  • •施工・試運転
  • •運用支援・メンテナンスプラン

これらを連携させ、用途別に最適な光環境をワンストップで提供します。

フルスペクトルの特長とメリット

太陽光に近い連続スペクトル

紫外(UV)〜可視光〜近赤外まで連続スペクトルを再現し、色忠実度や光合成有効放射(PAR)領域の最適化が可能。

生体リズムとウェルビーイング

青色光成分を時間帯に応じて増減させ、朝は覚醒促進、夜は眠気誘発をサポート。メラトニン分泌を整え、睡眠の質を向上させます。

作物育成効率の向上

深緑葉色を強調する赤・青のバランスだけでなく、光合成以外の生理反応を誘発するUV-Aや遠赤外をプログラムできます。

高演色・色忠実性

CRI99超の高演色性能を実現し、アートギャラリーやファッション展示など、微妙な色再現が求められる空間で高い評価を得ています。

制御技術とソフトウェア機能

  • • タイムベース制御
    日の出/日の入り時刻に合わせた自動スペクトル切替
  • • プリセット/シーン機能
    植物育成モード、医療リハビリモード、集中作業モードなど複数シーン登録
  • • AI予測調光
    天候・外光センサーと連携し、室内光量をリアルタイムに最適化
  • • 遠隔監視・データロギング
    照度・スペクトルデータをクラウドに記録し、レポート自動生成
  • • API/オープンプロトコル
    IoTプラットフォームや建物管理システム(BMS)とシームレス連携

これにより、導入現場ごとに最も効果的な光プランを細かくチューニングできます。

主な適用分野と事例

オフィス・働き方改革

集中力向上やウェルビーイング向上を両立し、バイオリズムに沿った光環境を実現。某大手金融機関では作業効率5%向上を報告。

 医療・福祉施設

術後回復促進や認知症患者の昼夜リズムサポート。総合病院の導入で入院期間短縮とケア負荷軽減を達成。

植物工場・水耕栽培

成長期から開花期までスペクトル最適化。イチゴ栽培で収穫量20%増、味の品質向上を実証。

美術館・展示スペース

UV管理とCRI向上で絵画や工芸品を劣化から守りつつ、自然光に近い高忠実度演出を実現。

商業施設・小売

店舗演出と省エネを両立し、季節やプロモーションに合わせた色表現で売上10%増加事例あり。

導入プロセスとROI試算

  1. 1. 現地調査・要件定義
  2. 2. スペクトル・照度シミュレーション
  3. 3. 機器選定・試作評価
  4. 4. 施工・試運転・調光チューニング
  5. 5. 運用支援・メンテナンスプラン確立

中規模オフィス(LEDモジュール200台、年間稼働2,500h)の例:

  • • 初期投資:LED機器+制御+施工=約1,800万円
  • • 年間電力削減:200台×40W削減×2,500h×27円/kWh=約540万円
  • • 生産性向上効果(作業効率5%想定):年間相当額600万円
  • • ROI期間:1,800万円 ÷ (540万円+600万円) ≒ 1.5年

生産性向上も加味すれば、投資回収はさらに加速します。

設置/施工時の注意点

  • • 配光設計:用途に応じた照度・スペクトル分布を事前に確定
  • • 熱管理:連続運転下でのLED温度上昇を防ぐヒートシンク選定
  • • ネットワーク環境:安定した制御信号伝送とセキュリティ対策
  • • 初期アライメント:スペクトルキャリブレーションと高精度照度測定
  • • アフタートレーニング:現場担当者への操作研修と運用マニュアル提供

施工前後のベンチテストが、長期安定稼働の鍵となります。

最新技術トレンド

  • • マルチスペクトルLED:UV-B〜IR-Cを細分化した8波長以上のハイパースペクトル対応
  • • エッジAI制御:現場で学習し、最適スペクトルを自律調光
  • • Li-Fi/光無線通信連携:照明を通信インフラとして二次利用
  • • バイオリズムフィードバック:人体センサー連動で個人最適光環境をリアルタイム制御
  • • 分散化PoE給電:LANケーブル一本で給電・制御を集約

これらの革新がフルスペクトルLEDシステムの価値を一段と引き上げます。

 ベンダー選定のチェックポイント

  • • スペクトル再現性試験:スペクトロメータ測定データ提供の有無
  • • 技術支援体制:設計・シミュレーション・試作~現地調整まで一気通貫
  • • 保守サービス:クラウド監視・異常予兆検知・定期キャリブレーションプラン
  • • 拡張性:波長追加/モジュール増設のしやすさ
  • • コスト透明性:機器・制御ソフト・施工・保守まで含むTCO提示

複数ベンダーのプロポーザルを精査し、品質と費用のバランスを評価しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. なぜフルスペクトルが必要?
A1. 太陽光に近い連続スペクトルは生体リズムや植物生長、色忠実性向上に不可欠です。

Q2. UVやIRは人体や展示物に影響ありませんか?
A2. UV-Cは省き、UV-A/IR-Aを最小限の安全レベルで制御。フィルタリング機能も実装可能です。

Q3. LEDの寿命は?
A3. 70%光束維持率で50,000~80,000時間。年1回のキャリブレーション推奨。

Q4. 既存照明との置換は?
A4. DALIや0–10Vなど既存制御と併用運用し、段階的移行が可能です。

Q5. 導入補助金は利用できる?
A5. 省エネ補助金やウェルビーイング関連の助成制度を活用できます。

まとめと次のステップ

フルスペクトルLEDシステムは、健康・生産性・育成効率・演色性を同時最適化する次世代照明です。まずは現地調査とスペクトルシミュレーションから始め、複数ベンダーの提案比較とROI試算を行いましょう。導入後はデータロギングとキャリブレーションを継続し、光環境の最適化サイクルを回すことで、長期的な価値創出を実現できます。

光の質が空間を変え、人を支える。フルスペクトルLEDシステムが、あなたのビジネスと暮らしを鮮やかに照らします。