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駐車場用ソーラーLED

(株)桜井屋灯具店では、下記事業を展開しています。
・オリジナルプロダクトの企画・設計・製作・販売
・特注照明の設計・製作
・他社既製品照明の卸販売・2次加工
・アンティーク照明の修理・復元
・輸入照明の日本仕様への組み替え及びPSE適合加工
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駐車場用ソーラーLEDとは?

駐車場用ソーラーLEDとは、太陽光で発電した電力を蓄え、夜間や暗所で駐車場を照らすために設計された一体型または分離型のLED照明システムです。電源インフラのない場所でも設置可能で、太陽光パネル、バッテリ、LED灯具、制御回路(充放電管理・照度センサー・タイマー)を組み合わせ、独立して自律稼働します。省エネ・低運用コスト・簡易施工が特長で、屋外駐車場、仮設駐車場、山間部・離島など電源確保が難しいエリアで広く採用されています。

構成要素と基本動作原理

  • • ソーラーパネル(PV):昼間に太陽光を直流電力に変換。多くは単結晶または多結晶シリコンパネルを採用。
  • • バッテリ(蓄電池):リチウムイオン系が主流(寿命・エネルギー密度が高い)。深放電耐性と温度特性を確認。
  • • LED灯具:高効率LEDモジュール(lm/W指標)と光学レンズで所定の照度分布を確保。IP・IK等級で屋外耐候性を担保。
  • • 充放電制御(MPPT/BMS):最大電力点追従(MPPT)で充電効率を高め、BMSでバッテリ保護と寿命最適化を実施。
  • • 照明コントローラ:照度センサー、人感センサー、タイマー、遠隔監視(オプション)で運用最適化。

動作原理は日中にPVでバッテリを充電し、夜間にバッテリからLEDへ給電。天候や稼働条件に応じて自律的に稼働モードを切替えます。

主な機能と制御方式

  • • 自動ON/OFF:光センサー(Dusk/Dawn)で夜間自動点灯、明け方自動消灯。
  • • タイマー/スケジュール:曜日・時間帯で照度を変える省エネモード設定。
  • • 人感(PIR)連動:待機時は低照度、検知時にフル点灯で消費電力を削減。
  • • SOC管理とバックアップ:バッテリ残量(State of Charge)に応じた出力制御と非常用残量確保。
  • • 遠隔監視・遠隔制御(オプション):セルラー/LoRaWANで消費電力・発電量・故障をクラウド管理。

これらにより、発電変動や使用パターンに柔軟に対応し稼働日数を確保します。

設計・選定のポイント

  • • 日射条件評価:気象データ(日射量・日照時間・季節変動)を基にPV容量とバッテリ容量を算定。
  • • 照度要件:道路・出入口・通路・枠内の最低照度基準(例:駐車区画50–100 lx、通路10–20 lx等)を満たす配光設計。
  • • 自己供給日数(Autonomy):連続曇天を想定した無太陽日数(通常3〜7日)を定義しバッテリ容量を決定。
  • • 温度レンジと耐候性:設置地域の極端温度(−20〜+50℃など)に対応するバッテリ・筐体仕様。
  • • IP/IK等級:屋外・洗浄・衝撃に耐えるIP65以上、IK08等を推奨。腐食環境ならステンレス・防食処理を検討。
  • • 設置高と配光:ポール高さ・間隔と配光角を最適化し、均斉度と重複照度を確保。

設計段階で光学シミュレーションとエネルギーバランス計算を行うことが成功の鍵です。

導入メリットとユースケース

  • • 設置コスト削減:電源延長不要で施工費を大幅削減、導入スピードが速い。
  • • 低運用コスト:電気料金ゼロ運用と遠隔監視で保守費を低減。
  • • 柔軟な配置:仮設駐車場やイベント会場、災害時の緊急照明として即応。
  • • 環境配慮:CO₂排出削減や再生可能エネルギー導入のPR効果。
  • • BCP(事業継続計画):停電時でも照明を確保できるため安全性向上。

代表ユースケース:商業施設駐車場、物流拠点仮置場、災害支援用臨時駐車場、山間地域の公営駐車場、キャンプ場・レジャー施設。

導入プロセスと施工上の注意点

  1. 1. 現地調査:日射量、周囲障害物(木・建物)、配光要件、地盤・基礎条件を調査。
  2. 2. 要件定義と設計:照度マップ、PV・バッテリ容量、ポール高さ・間隔、制御ロジックを決定。
  3. 3. 機器調達と試験:エンジニアリングレビュー、受入検査(IP試験、BMS機能確認など)。
  4. 4. 施工:基礎工事、ポール建て込み、PV取り付け、配線・接地、結線シーリング、試運転。
  5. 5. 試運転・調整:夜間挙動確認、人感・照度センサー調整、バックアップ動作検証。
  6. 6. 引き渡しと保守契約:運用マニュアル、遠隔監視設定、定期点検契約。

注意点:結線部の防水シール、バッテリ温度管理、ゲラの影(PV影落ち)対策を必ず実施すること。

ROI(投資回収)とコスト試算例

中規模商業駐車場(照明ポール40基、年間稼働3,650h)を例に概算。

  • • 初期投資:機器+施工=約800万円(地域・仕様で変動)
  • • 年間電力削減:従来電源型照明の電力費約96万円 → ソーラー運用で電力費0円(差額約96万円/年)
  • • メンテ削減:長寿命LEDと遠隔監視で年約20万円削減想定
  • • 補助金・税制優遇:地方補助金や再エネ設備補助を活用すると実質投資を圧縮可能
  • • ROI試算(補助金無し):800万円 ÷ (96万+20万) ≒ 6.25年

設計最適化や補助金活用、バッテリ寿命延伸で回収期間は短縮可能です。

メンテナンスと長期運用管理

  • • 定期点検(年1〜2回):パネル清掃、バッテリ電圧チェック、コネクタシール確認、LED光量測定。
  • • 遠隔監視:発電量・充電状況・消費電力・異常ログをクラウドで監視。アラートで即対応。
  • • バッテリ交換計画:Li-ionは8〜12年、実稼働環境での容量低下を想定し予備計画を用意。
  • • 季節調整:冬季や降雪期の運転設定(減光・タイムスケジュール)を制御で実施。
  • • 保守契約:BMSアップデート、現地交換対応、交換部品の在庫確保を契約化。

計画的保守によりシステム寿命を15年以上に延長可能です。

規格・安全性・環境対応

  • • 電気安全:国内外の電気安全規格(PSE、CE、ULなど)と耐候試験に適合した機器を選定。
  • • IP/IK等級:屋外用はIP65以上、耐衝撃性IK08以上を推奨。
  • • バッテリ安全:BMSによる過充放電・短絡・熱暴走保護、消防法やリサイクル規定への対応。
  • • 環境配慮:RoHS/REACH適合、端末リサイクル計画の明示。

設計・運用で安全基準と環境法令を順守することが必須です。

ベンダー選定のポイント

  • • 実績:同規模・同環境での導入事例と稼働実績。
  • • 技術力:MPPT制御、BMS品質、光学設計(Lm/W・配光設計)の根拠資料提示。
  • • 保証・保守:バッテリ保証、現地保守対応、遠隔監視サービスのSLA。
  • • コスト透明性:機器・施工・保守・交換費用のトータル提示。
  • • 補助金支援:申請書類や技術的根拠のサポートが得られるか。

複数社比較で長期TCOを重視した評価を行うことを推奨します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 雨や雪が多い地域でも使えますか?
A1. はい。設計で自己供給日数を確保し、雪対策(パネル角度・防雪ガード)を施せば運用可能です。

Q2. 夜間連続点灯は何時間可能ですか?
A2. バッテリ容量とPV発電量設計に依存します。一般的には夜間全点灯で8–12時間、節電運用で数夜持たせる設計が一般的です。

Q3. バッテリはどれくらいで交換が必要?
A3. Li-ion系で8–12年、使用条件で前後。容量低下を見越した交換計画が必須です。

Q4. 既存電源とハイブリッド運用できますか?
A4. 可能です。ハイブリッド型はバッテリ不足時に商用電源で補うため可用性が上がります。

Q5. 補助金は利用できますか?
A5. 地域・時期により各種補助金や再エネ導入支援が利用可能です。ベンダーが申請支援を行う場合もあります。

まとめと次のステップ

駐車場用ソーラーLEDは、電源インフラが無い場所やBCP対策、省エネ・CO₂削減を同時に実現する有力な照明ソリューションです。まずは現地日射データと照度要件を基に、PV容量・バッテリ容量・灯具配列の概念設計を行ってください。複数ベンダーによる比較検討、補助金適用の確認、メンテナンス契約の明確化を経て導入することで、長期的なコスト削減と安定稼働を達成できます。

災害時にも光を絶やさない、持続可能で柔軟な駐車場インフラ構築を検討してみてください。