GLOSSARY

IP68防水RGB

(株)桜井屋灯具店では、下記事業を展開しています。
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IP68防水RGBとは?

IP68防水RGBとは、赤緑青のRGB LEDを封止して防水・防塵性能IP68を実現したLED照明製品群を指します。完全浸水に耐える高いシール性と耐久性を持ち、屋外水辺、プール、噴水、ウォーターフロントの建築意匠、船舶・海洋施設、湿潤環境の演出照明など、水没や高湿度環境でのカラー演出を安全に行えることが最大の特徴です。RGB制御により任意の色やアニメーション、タイムライン演出を可能にし、DMXやArt Net、Bluetoothなど多様な制御方式に対応した製品が多く存在します。

基本仕様とIP68の意味

 IPコードの意味

IP68は「6」が完全防塵を示し「8」が長時間の水没に耐えることを示します。水深仕様は製品ごとに異なるため、設置条件に合わせて水深・水温・化学薬品耐性を確認する必要があります。

主な物理仕様

シリコン封止やUV耐性シース、EPDMやシリコーンOリングによるケーシングシール、ステンレスやアルミ合金の補助フレーム、耐候性コネクタ(防水コネクタ)を装備。

電気仕様

動作電圧は12V/24Vが一般的、長距離配線の場合は24V以上や専用給電設計を推奨。PWMドライバでの色制御が一般的で、16bit PWM対応製品はグラデーションが滑らかです。

光学仕様

LEDピッチや素子数によるルーメン密度、ビームアングル、CRI、色域(Gamut)を確認。プールや水中では屈折率の影響を考慮した配光設計が必要です。

製品選定では「IP68である」だけでなく、具体的な水深・連続浸漬時間・温度レンジ・耐薬品性の仕様確認が不可欠です。

構造設計とシール技術

封止材料

シリコーンやポリウレタンによるダイキャスト封止は弾性があり熱膨張に強い。UV劣化対策としてUV安定化シリコーンが好まれる。

コネクタと配線部の処理

防水コネクタはIP68対応で、埋設施工ではコネクタを使用せず溶接接続後シール材で完全封止する手法もある。接続部は点検口やメンテしやすい位置に配置する。

圧力と温度ストレス対策

深浅や温度差で内部圧力が変化するため、ベント弁による圧力緩和や二重シール構造を採用するケースがある。

耐薬品・耐塩害設計

海沿い環境やプールの塩素濃度に耐える素材選定、ステンレス316やアルミの防食処理、樹脂部材の耐腐食性評価が必要。

設計段階で環境条件を正確に想定し、シーリング方式と材料の組合せを決定します。

制御方式と互換性

一般的な制御プロトコル

DMX512、Art Net、sACN、DALI RGBW、0–10V、Bluetooth Mesh、Zigbee、Wi‑Fiなど。用途や既存設備との親和性で選定します。

コントローラー機能

プリセットシーン、スケジュール、音声同期、音楽同期、センサー連動(人感・照度)をサポートする製品が多い。DMX対応であれば舞台やイベント用途にも対応しやすい。

電源とドライバ

防水仕様のドライバを併用するか、ドライバは乾燥空間に配置し防水ケーブルで延長する方法がある。水中にドライバを入れる設計は高リスクで推奨されない。

カラーマネジメント

RGBのみでは表現が限定的な場合があり、RGBWやRGBA、フルカラーLED素子を採用して演色性や白色再現を改善する選択肢がある。

制御インフラの可用性、プロトコルの拡張性、現場でのメンテ性を考慮して制御系を設計します。

適用分野と導入メリット

代表的な適用分野

プール照明、噴水・ウォーターショー、屋外ファサードの近接水面ライン、船舶・マリーナ、温泉施設の夜間演出、屋外サインの防滴演出、屋内水景施設、テーマパークの水演出。

導入メリット

水没環境での安全な運用、豊かな色表現による来場者体験向上、耐候性による長期稼働と保守コスト低減、省エネのLED化によるランニングコスト低減。

表現面の利点

水面での色の混色や反射を意識した演出により、動的で立体的な光の表現が可能。水中投光で生まれる独特の揺らぎ演出は視覚的インパクトが高い。

適切な設計で観光性やブランド価値向上に直結する効果を生みます。

設計と施工上の注意点

水深と圧力設計

製品の耐水深仕様と設置予定の最大水深を照合する。深い水深や流速が高い環境では追加の保護カバーや重りによる固定を行う。

電気安全とアース

水中・湿潤環境では漏電・接地のリスクが高まるため、リーク試験、絶縁モニタ、動作停止回路の実装を必須化する。国内の電気安全規格に従うこと。

配線とコネクタ管理

ケーブルの曲げ半径・引張保護を遵守し、接続点は水面下でなくできるだけ点検可能な位置に配置する。接続部のシール材は定期交換部品とする。 

熱と冷却

水中では熱放散が良いが、シール材や被覆が熱で劣化することがあるため、連続高出力運転時の温度監視を行う。

施工時のチームと手順

水中溶接やシール作業には専門の技能が必要。メーカーの施工ガイドラインを厳守し、防水試験(浸漬試験、リークテスト)を行ってから運用開始する。

安全リスクを低減するために、電気・防水・機械の専門家を交えた施工体制を整えます。

メンテナンスと長期運用管理

点検頻度と項目

年1〜2回の外観点検、接続部シーリング状態確認、LED光束測定、コネクタ電気抵抗測定、制御系ログ確認を推奨。塩害地域や化学薬品環境では点検頻度を増やす。

劣化要因と対策

UV劣化、塩害による腐食、シール材硬化、ケーブル被覆割れが主な劣化要因。UV安定材、ステンレス素材、定期シール交換、被覆保護措置で対策する。

交換と在庫戦略

セグメント化されたモジュールを採用し、劣化部分だけを交換できる設計にする。重要演出部は予備在庫を確保する。

遠隔監視とアラート

電流・電圧・動作ログを監視し異常検知で早期対処。湿度センサやリーク検出器を配備し緊急停止を自動で行う設計も有効。

運用契約に保守スケジュールと交換ポリシーを組み込み長期の稼働保証を受けることが望ましいです。

環境評価と安全規格

規格対応

IP68は防水防塵の分類であり、製品はさらにUL、CE、PSEなどの電気安全規格、RoHSやREACHなど環境規制にも適合しているか確認する。医療や公共施設では追加の安全基準が適用される場合がある。

環境影響評価

プールや温泉など化学処理がされる水体ではLED被覆材やシール材の化学耐性を事前評価する。海岸近接では塩霧試験を実施する。

廃棄とリサイクル

LEDおよび電子部品はリサイクルが必要なケースがあるため、廃棄ポリシーと回収スキームを確認する。バッテリを内蔵するタイプは特に法令遵守が重要。

設置前に環境適合性評価を実施し長期影響を見積もることが重要です。

製品選定のチェックリスト

  • • 防水深と連続浸漬時間の仕様確認
  • • 耐塩害・耐薬品性能の明示
  • • 動作電圧と給電構成の適合性
  • • PWM分解能と制御プロトコル互換性
  • • LED光束維持率と保証期間
  • • コネクタ仕様とメンテナンス性(分解可能か一体封止か)
  • • 材質(ステンレス等級、樹脂グレード、被覆UV特性)
  • • メーカーの施工サポートと保守サービスの可用性

これらを網羅的に確認してから発注することを推奨します。

投資回収の考え方と概算例

  • • 導入メリットの算出項目:電力削減、ランプ交換コスト削減、保守頻度低減、来場者誘引やブランド価値の向上による売上効果。
  • • 概算例:屋外噴水演出ライン長50m、RGBテープ投入、施工費込みで約200万円。年間電力削減とメンテ削減等で約20〜40万円の効果と仮定すると、回収年数は5〜10年レンジ。補助金や観光効果を加えると回収は早まる場合がある。

 

精緻なROIは現地条件と演出効果の定量化をベースに作成することが必要です。

導入の流れと推奨プロジェクト体制

  1. 1 現地調査で水深、流速、化学条件、既存配線を確認
  2. 2 要件定義で演出仕様、制御要件、メンテ計画を決定
  3. 3 製品選定とプロトタイプによる水中試験を実施
  4. 4 詳細設計で給電・配線・取付治具を確定
  5. 5 施工はメーカー指導で防水試験を含め実行
  6. 6 運用フェーズで遠隔監視を有効化し保守契約を開始

 

プロジェクトチームには照明設計者、電気技術者、防水施工の専門家を含めることを推奨します。

よくある質問 FAQ

Q IP68とIP67の違いは何か
A IP67は短時間の浸漬に耐える等級、IP68は長時間・規定水深での浸漬に耐える等級です。設置条件により適切な等級を選定してください。

Q 海水で使用できるか
A 海水使用は可能だが塩害対策が必須です。ステンレスの材質選定、被覆の耐塩性能、点検頻度の増加を見込んでください。

Q 水中で点検や交換は可能か
A 設置方法による。分割交換できるモジュール設計にしておくと水中での取り外し作業が容易になります。潜水作業が必要な場合は専門ダイバー対応が必要です。

Q プールの消毒薬による劣化はどう対処するか
A 塩素や消毒薬に耐性のある封止材と被覆を選び、薬剤濃度に関するメーカー保証を確認してください。

Q 防水性能は永続するのか
A シール材やOリングは消耗品です。定期交換が必要であり、長期間で性能低下することを前提としたメンテ計画が必須です。

まとめと次のステップ

IP68防水RGBは水域や高湿度環境で安全にカラー演出を行える強力なツールです。設計時には防水深・薬品環境・塩害・熱管理・給電構成・メンテ性を慎重に評価し、メーカーと共同でプロトタイプ試験を行うことが成功の鍵です。導入に際しては施工後の定期点検、シール部の交換計画、遠隔監視の導入をセット化し、長期の稼働保証と安全運用を確保してください。水と光が織りなす表現は施設価値を大きく高めますが、安全設計と継続的な保守があってこそその効果が持続します。