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RGBIC照明

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RGBIC照明とは?

RGBIC照明とは、RGB(赤 Red・緑 Green・青 Blue)LEDにIC(集積回路)を組み込んで、LEDセグメントごとに個別かつ独立した色制御を可能にした照明技術です。従来のRGB照明がフィクスチャ全体を一色で制御するのに対し、RGBICは同一の照明器具内で複数色を同時表示でき、グラデーション、マルチカラーパターン、点滅や追従など複雑で動的な演出を低コストかつ簡便に実現します。家庭用の間接照明やスマートホームのムードライト、商業ディスプレイ、イベント装飾などで急速に普及しています。

概要と主な特徴

RGBICのコアは「ICによる個別制御」です。ICはLEDストリップ内の複数LEDをセグメント化して個別にアドレス化し、それぞれに異なる色・明るさ・エフェクトを割り当てられるようにします。主要な特徴は次の通りです。

  • • 個別発光:ストリップの区画ごとに独立した色指定が可能。
  • • 同時多色表示:一本で複数色の同時表示や滑らかなグラデーションを再現。
  • • プリセットエフェクト:波紋、流れ、ランダム、音同期などの演出を内蔵。
  • • 簡易制御:スマホアプリやリモコンで直感的に操作可能。
  • • コスト効率:DMX等の外部制御を必要とせず比較的低価格で多彩な演出が可能。

これにより、照明デザインの自由度が大幅に高まり、設置と運用の手間を減らせます。

技術構成と動作原理

RGBIC照明は以下の要素で構成されます。

  • • LED素子:SMDタイプ(5050や2835など)が一般的。
  • • ICチップ:各セグメントを駆動する集積回路。代表的なプロトコルの一例にWS2811、WS2812、SK6812などがある。
  • • 制御回路:入力信号(I/O)をICに送り、各LEDにデータをシリアル伝送する方式。
  • • 電源ユニット:DC12VまたはDC5V/24Vが主流で、セグメント長に応じた給電設計が必要。
  • • インターフェース:リモコン、赤外線、Bluetooth、Wi‑Fi、専用コントローラーやアプリ。

ICはシリアルデータを受けて該当セグメントの色・輝度情報をラッチし、残りのデータを次のICへ転送します。この連鎖により多数のLEDを一つの信号線で制御できます。

表現力と演出機能

RGBICの最大の強みは表現力です。主な演出例は次のとおりです。

  • • マルチカラーウォッシュ:器具全体が滑らかに色を変える演出。
  • • ピクセルマッピング:個々のセグメントをピクセルとして扱い、アニメーションや映像的表現を行う。
  • • ランダムカラー・パーティモード:ランダムな色変化やリズミカルな点滅。
  • • 音同期・ビート検出:内蔵マイクや外部信号で音楽ビートに同期した光の動き。
  • • タイムライン・スケジュール:時間やシーンに応じて自動で演出を切替。

これらを組み合わせれば、住宅のムード照明から店舗ウィンドウの注目演出、イベントステージのダイナミックライティングまで幅広い用途に対応します。

制御方式と接続設計

制御には主にシリアルデータ方式が使われます。代表的な制御要点は以下です。

  • • 信号線設計:データ線とグラウンドを短く保ち、ノイズ対策でシールドが有効。
  • • 電源分配:長尺配線では電圧降下対策として途中給電(注入)が必要。
  • • 終端/リピータ:長距離伝送ではレピータやバッファで信号劣化を補正。
  • • アドレッシング:ICは内蔵アドレス方式(先頭から順番に割当)で個別制御を実現。
  • • プロトコル互換性:ICによってはタイミングや信号仕様が異なるため互換性に注意。

適切な配線計画により、安定した色再現と演出の再現性が得られます。

設置と配慮点

RGBIC導入時の実務上の注意点は次の通りです。

  • • 電源選定:5V系は高輝度だが電圧降下に弱く、12V/24Vは長距離に向く。仕様に合わせた電源容量を確保する。
  • • 配線ルート:給電ポイントとデータ配線を分け、ノイズ源から離す。
  • • 放熱対策:密閉空間や長時間点灯時の熱蓄積を考え、アルミレールや放熱性のある取り付け面を使う。
  • • 防水・防塵:屋外や水回りに設置する場合はIP65以上の被覆やエンクロージャを利用する。
  • • セグメント長管理:ICごとの制御単位と物理的LED数を把握し、演出粒度を意図的に設計する。

これらを守ることでトラブルを抑え、長期運用を可能にします。

光学・色品質の考え方

RGBICは多色表現が得意ですが、白色光や高演色が必要な場面では工夫が要ります。

  • • ホワイト表現:純粋な白を必要とする場合はRGBWやRGBAタイプのIC搭載製品を選ぶと自然な白が得られる。
  • • CRIと色再現:RGBのみでは高CRI白は得にくいため、商品撮影や美術展示には高演色白チップ併用が望ましい。
  • • ムラと色バランス:個別制御で色差が出ることがあるため、初期キャリブレーションを行うと品質が向上する。

演出用途と作業用途で求められる光質が異なるため、用途に応じた製品選定が重要です。

メンテナンスと運用管理

RGBICの運用で押さえておきたい管理項目は以下です。

  • • 電源・コネクタ点検:緩みや腐食、過熱を定期確認。
  • • ソフトウェア更新:アプリやコントローラーのファームウェアは新機能や安定化のために更新する。
  • • キャリブレーション:長期使用で色ずれが生じたらソフトで色補正を実施。
  • • 予備在庫:セグメント単位での交換が可能な設計にしておくと復旧が早い。

遠隔管理機能を導入すれば稼働ログ、消費電力、異常検知をリアルタイムで監視でき、保守計画を効率化できます。

適用事例と効果

RGBICは次のような用途で効果を発揮します。

  • • 住宅の間接照明:時間帯や気分に合わせた多彩なムード演出。
  • • 小売・飲食店:ウィンドウや棚の注目演出で視線誘導とブランド表現を強化。
  • • 商業ディスプレイ:商品のカラーチェンジや季節演出で購買促進。
  • • イベント・舞台装飾:低コストでダイナミックなライティングを実現。
  • • ゲーミング環境:音楽やゲームの演出と同期した没入型ライティング。

導入効果は視認性の向上、顧客体験の強化、設置・運用コストの削減に繋がります。

選定基準と購入時チェックポイント

RGBIC製品を選ぶ際は以下を確認してください。

  • • ICプロトコルと互換性:WS系やSK系などの仕様を確認する。
  • • 電源仕様:定格電圧・電流、推奨給電方法を把握する。
  • • セグメント粒度:何LED=1セグメントかで表現の細かさが決まる。
  • • 防水・耐候性:屋内向けか屋外向けかでIP等級を確認する。
  • • 制御インターフェース:スマホアプリ、Wi‑Fi、Bluetooth等の対応有無。
  • • 演出プリセットとカスタム性:内蔵エフェクトの種類とユーザー編集の可否。
  • • サポートと保証:故障対応、在庫部品、技術サポート体制。

これらを比較して用途に最も合致する製品を選定してください。

よくある質問 FAQ

Q. RGBICとRGBの違いは何ですか?
A. RGBは器具全体を同色で制御するのに対し、RGBICはセグメント単位で色を個別制御でき、同一器具で複数色を同時表示できる点が最大の違いです。

Q. 屋外に使えますか?
A. 屋外で使う場合はストリップ自体がIP65以上で被覆され、電源や接続部も防水対策されている製品を選んでください。

Q. 何ボルトを選べばよいですか?
A. 長尺での電圧降下を避けるなら12Vまたは24V系を推奨します。5V系は高密度表現に向くが給電ポイントの設計が重要です。

Q. 映像的表現は可能ですか?
A. ピクセルマッピングをサポートするコントローラーを用いれば、簡易な映像やアニメーション表示が可能です。

導入の進め方とベストプラクティス

  1. 1 検討フェーズ:用途、設置長さ、求める表現粒度(セグメント長)を定義する。
  2. 2 検証フェーズ:小規模でPoCを実施し色再現、エフェクト、給電・制御安定性を確認する。
  3. 3 設計フェーズ:電源プラン、配線ルート、設置方法、防水処理を確定する。
  4. 4 実装フェーズ:配線、固定、初期キャリブレーション、ユーザー教育を行う。
  5. 5 運用フェーズ:ログ監視、定期点検、ソフトウェア更新を継続実施する。

PoCと現地調整を重ねることで、期待通りの演出品質と運用安定性を確保できます。

まとめ

RGBIC照明はICを内蔵することで、一本の照明器具で多色・多様な動的演出を可能にした技術です。表現力の高さと比較的低コストな導入性が特徴で、住宅のムードづくりから商業・イベント用途まで幅広く適用できます。導入にあたっては電源・配線・防水・制御方式の設計が成否を分けるため、要件を明確にしPoCで検証したうえで実装することを推奨します。RGBICは光を「点」で演出する技術から「面」で語る新しい表現手段への扉を開きます。