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人体感知ライト

(株)桜井屋灯具店では、下記事業を展開しています。
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人体感知ライトとは?

人体感知ライトは、人の存在や動きを検知して自動で点灯・消灯・調光・通知などを行う照明システムです。省エネ・利便性・安全性向上を主目的に住宅・オフィス・廊下・トイレ・倉庫・屋外歩行路・階段・駐車場など幅広い場所で採用されます。本稿は仕組み、機能・種類、設計・設置の実務ポイント、PoCでの検証項目、運用・保守、トラブル対処まで実務的に解説します(外部引用や参照は含みません)。

仕組みと検知原理

  • • 検知方式の分類• パッシブ赤外線(PIR): 人体が放つ赤外線の変化を検出する。消費電力が低く夜間の動体検出に強い。
  • • マイクロ波/ドップラー(レーダー): 電波の反射変化を検出し、薄い障害物越しや高速な動きも感知する。
  • • 超音波: 音波の反射時間や位相の変化を検出。微小な動きに敏感だが環境ノイズに影響される。
  • • カメラ映像解析(AI): 画像処理で人数・姿勢・滞在位置を識別。高機能だがプライバシーや処理負荷に配慮が必要。
  • • 圧力/床センサ・磁気・BLEビーコン等: 接地や所持デバイス検出で在室判定を行う補助方式。
  • • センサ特性の違い(実務目線)• PIR は消費電力とコストの面で有利だが視野外や静止者を見逃すことがある。
  • • レーダーは検出範囲や指向性調整がしやすく屋外や天井高い場所に向く。
  • • 画像解析は精度と柔軟性が高いが帯域・演算・プライバシー対策が必要。

主な機能と運用パターン

  • • 自動点灯/自動消灯:人の入退室で照明を切替え、無駄点灯を削減する。
  • • 調光・フェード:入室時に段階的に点灯、退室時はフェードで消灯し視感の違和感を低減する。
  • • 在室維持ロジック:短時間の静止(読書・作業)で消灯しないようヒステリシスや二重検知を使う。
  • • 夜間常夜灯/低照度モード:夜間は最小灯にして安全確保と眩しさ抑制を両立。
  • • シーン連携:ドア解錠やアラーム、BMS、セキュリティシステムと連動した動作。
  • • 予兆保守・ログ:稼働時間や異常検知を収集しランプ交換や故障予兆に活用。
  • • プライバシー保護モード:映像系は映像非保存・匿名化処理・エッジ処理で個人情報を保護。

設計・設置の実務ポイント

  • • 要件定義(最優先)• 検出対象(人・動物・物体)、応答遅延、最低点灯比、誤動作許容度、設置環境(屋外・高天井・騒音)を明確にする。
  • • センサ選定と混在設計• PIR+レーダーの組合せで死角・静止誤検出を補う、またはカメラを補助用途で使う、など冗長性を設計する。
  • • 取り付け位置と視野設計• 天井高、設置角度、検出パターン(カバー角)を現地で確認し、家具や反射面が死角を作らないよう配慮する。
  • 感度・遅延設定とヒステリシス• 誤検知(ペット・エアコン風)や誤消灯を避けるため、感度・猶予時間・二段検知ルールを設計段階で調整する。
  • • 電源・耐候・安全設計• 屋外はIP等級、耐衝撃、耐寒・耐熱仕様を確保。瞬時突入電流や放熱を考慮する。
  • • ネットワーク・連携設計• IoT化する場合は通信方式(PoE/Ethernet、Wi‑Fi、ZigBee、BLE等)、ゲートウェイ、暗号化、アクセス管理を含めた設計を行う。
  • • 視認性とユーザ体験設計• 点灯タイミングや明るさ、フェード時間は利用者の心理的許容を重視してパラメータ決めする。

PoCと試験で必須の検証項目

  • • 検出性能• 到達範囲、検出角、検知確度(TPR)と誤検知率(FPR)を条件別に測定(静止者、着席者、通過速度、複数人数)。
  • • 応答遅延・フェード評価• 入室から点灯、退室から消灯までの時間分布とユーザ受容性を確認する。
  • • 環境ノイズ耐性• 換気・エアコン、車両通行、反射光、動物などの擾乱条件での誤動作を検証する。
  • • 多種センサ協調挙動• 複数センサ同時運用時の融合ロジック(AND/OR/重み付け)の挙動を評価する。
  • • インテグレーション試験• BMS、セキュリティ、照明制御系、非常照明との連携やエッジ/クラウド処理遅延を検証する。
  • • プライバシー・セキュリティ評価(映像系を使う場合)• データ保護、ストレージポリシー、アクセス制御、匿名化処理の動作を確認する。

PoCは複数時間帯・曜日・利用パターンで最低数週間実施し、実使用の誤検知条件を収集することが重要です。

運用・保守と実務フロー

  • • 運用監視とログ活用• 検出ログ、点灯履歴、異常イベントを蓄積し、故障予兆・省エネ評価・利用率分析に活用する。
  • • パラメータ調整サイクル• 現地観測結果をもとに感度・タイムアウト・ヒステリシスを定期的に最適化する。
  • • 保守作業と交換計画• センサ清掃(PIRやレンズの汚れは検出性能低下の主因)、ファーム更新、部品交換の手順・頻度を定める。
  • • 障害時の対応プロセス• 1. 物理層チェック(電源・接続)→ 2) センサ面・筐体点検→ 3) ログ解析→ 4) 設定変更→ 5) 交換・修理の順で切り分ける。
  • • ユーザ教育と例外運用• 利用者向けの挙動説明(遅延や低照度モード)と、長時間作業時の手動オーバーライド運用ルールを整備する。

トラブル事例と対処テンプレート

  • • 誤検知が多い(ペットやカーテンの揺れで点灯)• 対処:感度低下、検出ゾーン限定、二重判定(PIR+レーダー)に変更。
  • • 静止者を検知しない(読書・作業で消灯する)• 対処:在室維持ロジックの導入、カメラ補助や床圧センサの併用、オーバーライドスイッチ設置。
  • • 屋外で誤反応(風で揺れる植物で点灯)• 対処:検出高さ・角度の見直し、レーダーのしきい値調整、マスク設定で特定ゾーン除外。
  • • ネットワーク障害でリモート制御不能• 対処:ローカルフェイルセーフ(自律タイムアウト・ローカル制御)を実装。
  • • ハード故障・黄変で性能低下• 対処:定期点検で早期交換、耐候性部材・シールの見直し。

 

まとめと実務提言

  • • 人体感知ライト導入は「検知方式の適合」「取り付け位置と検出パターンの現地最適化」「誤検知対策としての複合センサ設計」「PoCによる実環境検証」「運用での継続的パラメータ調整」が成功の鍵です。
  • • 要件を数値化(応答時間、誤検知率許容、最小点灯比、SLA)して調達仕様に落とし、PoCで現地条件を把握した上で段階導入する運用を推奨します。