空港照明
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OUTLINE
空港照明とは?
安全・誘導・信頼を支える「止まらない光」
空港は、都市の中でも特に複雑で高度な機能を求められる場所です。
人の移動、航空機の発着、地上車両の走行、膨大な設備の稼働が、昼夜を問わず同時進行しています。
その中で空港照明は、単に「暗い場所を明るくする」ための設備ではありません。
一瞬の判断ミスが許されない環境において、正確な視認性を確保し、迷いを生まない導線をつくり、空港全体の運用を止めないための安全インフラとして機能しています。
照明が正しく機能しているとき、利用者はその存在をほとんど意識しません。
しかし、もし照明が不十分であれば、不安・混乱・事故リスクは一気に表面化します。
空港照明とは、「意識されないこと」そのものが価値となる、極めて重要な光なのです。
空港照明の役割とは?
空港照明の役割は、単純に一つではありません。大きく捉えると、「安全」「誘導」「信頼」という三つの役割が、常に重なり合っています。
まず第一に、安全の確保です。滑走路や誘導路では、航空機の位置や向き、周囲との距離関係が正確に把握できなければなりません。夜間や悪天候時でも、同じ判断ができる状態を維持することが求められます。
照明は、パイロットや作業員にとっての「目」の役割を担っています。
だからこそ、空港照明には常に正確さと再現性が求められます。
次に、人と機体を正しく誘導する役割です。空港では、文字情報やアナウンスだけで人や航空機を動かすことはできません。進むべき方向、立ち止まるべき位置、注意すべきポイントを、光によって直感的に伝える必要があります。
そして三つ目が、空港としての信頼感をつくる役割です。明るく整理された空間は、利用者に「ここは安全だ」という印象を与えます。逆に、暗さやムラのある照明は、不安や焦りを生みやすくなります。
空港照明は、安全運用と同時に、利用者の心理状態にも大きな影響を与える存在です。
空港照明が使われる主な場所
空港内には、性質の異なる空間が連続しています。航空機が直接関わるエリアと、人が滞在・移動するエリアでは、照明に求められる役割が大きく異なります。
滑走路や誘導路、エプロンといったエリアでは、一瞬の誤認が事故につながるため、機能性が最優先されます。
一方で、ターミナルビル内外やアプローチ、駐車場では、安全性に加えて、分かりやすさや心理的な安心感が重視されます。
空港照明は、これらの異なる要求を一つの施設の中で同時に満たさなければならない、非常に難易度の高い照明計画と言えます。
空港照明の大きな特徴
空港照明の最大の特徴は、「止まらないこと」を前提として設計されている点にあります。
空港は、基本的に照明を消して作業することができません。そのため、故障やトラブルが発生しても、即座に代替が機能する冗長性が求められます。
また、空港照明では、色や配置そのものが情報として扱われます。特に航空機関連エリアでは、色の違いが意味の違いを表し、判断ミスを防ぐために厳密なルールが設けられています。
さらに重要なのが、眩しさへの配慮です。強すぎる光は、かえって視界を妨げ、判断力を低下させます。空港照明では、「強さ」よりも「当て方」「広がり方」が重視されます。
空港照明の種類と役割
滑走路・ターミナル別に見る「光の意味」
滑走路照明は、航空機の安全運航を直接支える最重要設備です。滑走路灯は、進行方向や位置関係を正確に伝え、夜間や視界不良時でも迷いのない判断を可能にします。
末端灯は、滑走路の終わりを明確に示し、接地帯灯は、着陸すべきエリアを視覚的に伝えます。これらの照明は、すべてが連動することで初めて意味を持ちます。
誘導路やエプロンでは、航空機の移動と地上作業の安全が重視されます。誘導路灯は誤進入を防ぎ、エプロン照明は作業員の視認性を確保しつつ、パイロットの視界を妨げない設計が求められます。
ターミナル周辺や内部では、利用者の行動を支える照明が中心となります。ロビーや通路では、混雑時でも全体を把握できる明るさが必要です。待合エリアでは、落ち着いた光が、長時間滞在によるストレスを和らげます。
空港照明|後悔しない計画ポイント
空港照明は、一度設置すると簡単に変更できません。しかも、24時間稼働という厳しい条件のもとで使われ続けます。
そのため、計画段階での判断が、その後何十年にもわたる運用に影響します。
まず重要なのは、エリアごとの役割を正確に理解することです。すべてを同じ基準で考えてしまうと、安全性も快適性も中途半端になりがちです。
次に、「明るさ」ではなく「見え方」を基準にすることです。何が見えて、何が強調され、どこで判断が行われるのか。これを丁寧に考えることが、事故防止につながります。
まぶしさへの配慮、天候や混雑の変化への対応、メンテナンスのしやすさ、非常時との連続性。これらを個別に考えるのではなく、一つの流れとして整理することが重要です。
さらに、空港全体としての光の統一感も欠かせません。バラバラな照明は、無意識のうちに利用者を疲れさせます。
空港照明とLED化の考え方
近年、空港照明の分野ではLED化が急速に進んでいます。省エネ性能や長寿命といった分かりやすいメリットが注目されがちですが、空港という特殊な環境では「LEDにすればすべて解決する」という単純な話ではありません。
空港は、航空機の安全運航を支えるインフラであると同時に、多くの人が行き交う公共空間でもあります。そのため照明には、効率性だけでなく、安全性、視認性、心理的安心感、そして長期運用を見据えた信頼性が求められます。
ここでは、空港照明におけるLED化を進める際に押さえておくべき基本的な考え方と、計画時に注意すべきポイントを整理していきます。
なぜ空港照明でLED化が進んでいるのか
空港は照明設備にとって非常に過酷な条件がそろう施設です。
多くのエリアが24時間稼働しており、照明の設置数も膨大です。さらに、運用上の制約が多いため、照明を停止して交換や点検を行うこと自体が簡単ではありません。
従来の光源では、消費電力が大きく、ランプ交換の頻度も高いため、電気代だけでなく保守コストや作業負担が年々積み重なっていくという課題がありました。特に屋外や高所に設置された照明では、交換作業そのものがリスクを伴うケースも少なくありません。
こうした背景の中で、消費電力が小さく、長寿命で、制御性にも優れるLEDは、空港照明と非常に相性が良い光源として評価されるようになりました。単なる省エネ対策にとどまらず、運用全体を見直す手段としてLED化が進められているのです。
空港照明におけるLED化の主なメリット
省エネルギー効果が長期的に積み重なる
空港照明は、昼夜を問わず稼働し続けることが前提となっています。そのため、LED化による電力削減効果は、短期的な数値以上に、長期的な運用の中で大きな意味を持ちます。
電力使用量の削減は、ランニングコストの低減だけでなく、CO₂排出量の抑制にもつながります。特に滑走路やエプロン、外構照明のように照明規模が大きいエリアでは、その効果が数字として分かりやすく表れやすく、LED化の意義を実感しやすい部分でもあります。
メンテナンス負荷の軽減による運用安定性
空港照明の保守作業は、高所での作業や夜間作業、さらには運航スケジュールを考慮した制限付きの作業になることが多く、担当者にとって大きな負担となります。
LEDは長寿命であるため、ランプ交換の頻度を大幅に減らすことができます。これにより、作業回数そのものが減少し、人的リスクの低減や保守計画の簡素化にもつながります。結果として、空港全体の運用安定性を高める効果が期待できます。
制御・調光による柔軟な運用が可能になる
LEDは、調光やエリア別制御、時間帯に応じた明るさ調整がしやすい光源です。
空港では、深夜や早朝、利用者が少ない時間帯など、状況に応じて照明に求められる役割が変化します。
LED化によって、常に最大照度で点灯させるのではなく、必要な場所に必要な明るさだけを供給する設計が可能になります。これは、省エネだけでなく、まぶしさの抑制や快適性の向上にも寄与します。
LED化で陥りやすい誤解と失敗
「LED=必ず安全になる」という思い込み
LEDは明るさを確保しやすい光源であるため、必要以上に強い光を使ってしまいがちです。その結果、まぶしさが増し、かえって視認性が低下するケースも見られます。
特に空港では、パイロットの視線方向、作業員の目線高さ、雨天時や霧発生時の反射など、複雑な条件が重なります。これらを考慮せずにLED化を進めると、安全性を高めるどころか、新たなリスクを生む可能性があります。
光の質を考えずに置き換えてしまう問題
従来光源からLEDへ、器具や配光を十分に検討せず、そのまま置き換えてしまう計画も失敗の原因となります。LEDは光の出方が異なるため、影の出方が変わったり、見え方が不自然になったりすることがあります。
LED化は単なる光源変更ではなく、空間全体の照明設計を見直す機会として捉えることが重要です。誘導性や視線の流れまで含めて再設計することで、初めてLEDの性能が活かされます。
空港ならではのLED化の注意点
色温度の選定が印象を左右する
空港照明では、白すぎる光や冷たすぎる色味が、不安感や落ち着きのなさにつながることがあります。特にターミナルや動線空間では、安心感や長時間滞在への配慮が欠かせません。
エリアごとに役割を整理し、それぞれに適した色温度を選定することで、機能性と快適性の両立が可能になります。
非常時の見え方を必ず検証する
LED照明は指向性が強く、配光が鋭いという特性があります。そのため、非常時に影ができやすく、進行方向が分かりづらくなる可能性も否定できません。
通常時だけでなく、停電や非常時を想定した状態での視認性まで含めて検証することが、空港照明では特に重要です。
過酷な環境条件への適合性
空港は、風雨や霧、沿岸部では塩害、さらには航空機による振動など、照明機器にとって厳しい環境にさらされます。LED照明が高性能であっても、設置環境に適合していなければ、本来の性能を維持することはできません。
防水・防塵性能や耐候性、放熱設計まで含めて確認し、長期運用を前提とした選定が必要です。
LED化は段階的に進めるという選択
空港全体を一度にLED化するのではなく、更新時期が来たエリアや効果が出やすい場所から段階的に進めるケースも多く見られます。この方法であれば、運用への影響を抑えながら、実際の見え方や使い勝手を検証し、次の計画に反映させることができます。
まとめ|空港照明は「何も起きない」を守る設備
空港照明は、問題が起きなければ評価されにくい設備です。
しかし、何も起きない状態を維持することこそが、空港照明に求められる最大の役割です。
見え方、誘導性、心理的安心感、維持管理。これらを計画段階から丁寧に積み重ねることで、空港は24時間、安全に機能し続けます。
空港照明は、空港の信頼を静かに支え続ける「縁の下の光」なのです。