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ホテルスパ照明

(株)桜井屋灯具店では、下記事業を展開しています。
・オリジナルプロダクトの企画・設計・製作・販売
・特注照明の設計・製作
・他社既製品照明の卸販売・2次加工
・アンティーク照明の修理・復元
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ホテルスパ照明とは?

非日常と深いリラックスを成立させる「感覚設計の光」

ホテルスパは、単なる入浴施設ではなく、日常から切り離された時間と感覚を提供するための空間です。宿泊者はここで身体を預け、緊張を解き、心身を回復させることを期待しています。その体験の質を大きく左右するのが照明です。ホテルスパ照明は明るさを確保するための設備ではなく、安心して過ごせるか、深くリラックスできるかを左右する感覚設計の一部と言えます。

スパ空間では、利用者は身体を露出し、視覚や触覚が非常に敏感な状態になります。そのため、わずかな光の強さや色味、影の出方が、心地よさにも不快感にも直結します。明るすぎれば落ち着かず、暗すぎれば不安になる。この微妙なバランスを成立させることが、ホテルスパ照明の本質です。

ホテルスパ照明の役割

安心感・癒し・空間価値を同時に支える

ホテルスパ照明の役割は、大きく分けると三つの要素に集約されます。一つ目は安心感の確保です。スパは水や湿気が多く、床や段差、水際が滑りやすい環境です。照明によって足元や境界が自然に認識できることで、利用者は無意識のうちに安全を感じることができます。ここで重要なのは「注意してください」と主張する光ではなく、「見れば分かる」状態をつくることです。

二つ目はリラクゼーションの演出です。スパにおける光は、活動を促すものではなく、気持ちを静め、呼吸を深くする方向に作用する必要があります。柔らかく、包み込むような光は、副交感神経を優位にし、利用者を休息モードへと導きます。照明は空間演出の一部であり、音や香りと同じように、体験価値を構成する要素です。

三つ目は空間価値の向上です。ホテルスパは、ホテル全体の印象やブランドイメージを象徴する場所でもあります。照明によって素材の質感が引き立ち、空間に奥行きや陰影が生まれることで、「特別な場所に来ている」という感覚が強まります。

ホテルスパ照明が難しい理由

明るさの正解が存在しない空間

ホテルスパ照明が難しいとされる理由は、明るさの基準が一律ではない点にあります。医療施設やオフィスのように、数値で割り切れる世界ではありません。利用者の年齢、滞在時間、目的、さらにはその日の体調によって、快適と感じる光は変化します。

さらに、スパには浴槽、洗い場、通路、ラウンジ、パウダールームなど、異なる性質の空間が連続しています。それぞれに必要な明るさや光の方向性は異なりますが、急激な変化は利用者に違和感を与えます。この連続性を保ちながら役割を切り替える点に、計画の難しさがあります。

明るすぎるホテルスパ照明が招く問題

リラックスできない空間になる危険

安全性を意識するあまり照明を明るくしすぎると、スパ本来の価値が損なわれます。強い光は身体の緊張を解きにくくし、利用者に「見られている」「落ち着かない」という感覚を与えることがあります。特に天井からの直接光が強い場合、影が少なくなり、空間が平坦で味気ない印象になります。

また、水面や濡れた床は光を反射しやすく、想定以上のまぶしさを生むことがあります。これは視覚的な不快感だけでなく、目の疲労やストレスの原因にもなります。

暗すぎるホテルスパ照明が生む不安

安心できない空間は癒しにならない

一方で、雰囲気を重視するあまり暗くしすぎたスパ照明も問題です。足元や段差が見えにくくなれば、転倒や事故のリスクが高まります。また、水際の境界が分からない状態は、利用者に無意識の緊張を与えます。

人は「見えない場所」に対して不安を抱きます。不安を感じた状態では、どれほど演出が美しくても、深いリラックスにはつながりません。癒しの空間であるためには、安心できる明るさが前提条件になります。

ホテルスパ照明で重視すべき「見え方」

数値よりも感覚を優先する

ホテルスパ照明で重要なのは、照度の数値ではなく見え方です。足元の状態が自然に把握できるか、水との境界が無理なく認識できるか、他の利用者の存在が過度に強調されないか。これらが満たされて初めて、安心とリラックスが両立します。

理想的なスパ照明は、利用者が光の存在を意識しない状態をつくります。「明るい」「暗い」と考えることなく、自然に空間に溶け込めることが、完成度の高い照明計画と言えます。

まとめ

ホテルスパ照明は体験の質を決める要素

ホテルスパ照明は、単に空間を照らす設備ではなく、体験そのものを設計する要素です。安心感、リラクゼーション、非日常感。この三つを同時に成立させるためには、明るさだけで判断しない丁寧な計画が欠かせません。

光が主張しすぎず、しかし確実に人を支える。その静かな存在感こそが、良いホテルスパ照明の条件です。

ホテルスパ照明のLED化の考え方

省エネだけで判断しないことが最重要

ホテルスパ照明のLED化は、コスト削減や省エネルギーの観点からほぼ必須の選択肢になっています。しかし、単純に既存照明をLEDに置き換えるだけでは、スパ空間の価値を下げてしまうケースも少なくありません。ホテルスパにおけるLED化は「効率化」ではなく「質を保ったままの更新」という視点で考える必要があります。

LEDは明るさの立ち上がりが早く、光がシャープになりやすい特性を持っています。この特性を理解せずに導入すると、従来よりも光が強く感じられ、リラックス空間に不向きな印象になることがあります。

LEDでも「柔らかさ」はつくれる

器具選定と光の当て方が鍵

LED照明は冷たい、硬いというイメージを持たれがちですが、現在の技術では十分に柔らかい光を表現できます。重要なのは、光源そのものよりも、器具の構造と光の拡散方法です。直接光を避け、間接的に壁や天井を照らすことで、LEDでも包み込むような光環境をつくることができます。

特にスパ空間では、点光源が視界に入らないよう配慮することが重要です。LEDの粒感が見えてしまうと、一気に現実感が強まり、非日常性が損なわれます。光源を隠し、面で光を感じさせる設計が求められます。

色温度の選び方

温かみを基準に考える

ホテルスパ照明のLED化で最も重要な要素の一つが色温度です。白すぎる光は清潔感は出ますが、緊張感も生みやすく、スパには不向きです。温かみのある色味を基準にすることで、肌の見え方も柔らかくなり、安心感が高まります。

また、エリアによって微妙に色温度を変えることで、空間に奥行きやリズムを持たせることも可能です。ただし変化をつけすぎると違和感につながるため、あくまで自然なグラデーションを意識することが重要です。

調光・シーン制御との相性

LED化で広がる演出の幅

LED照明は調光やシーン制御との相性が非常に良く、時間帯や利用状況に応じた光環境をつくりやすいというメリットがあります。昼と夜、混雑時と静かな時間帯で光の印象を変えることで、同じ空間でも異なる表情を演出できます。

ただし、調光を前提としない器具選定を行うと、暗くした際に色味が変わったり、不自然な印象になることがあります。ホテルスパでは、暗くしても美しく見えることを前提に、調光対応のLEDを選ぶことが欠かせません。

メンテナンス性と雰囲気の両立

長寿命だけに頼らない視点

LEDは長寿命でメンテナンス負荷が低い点も魅力ですが、ホテルスパでは「交換頻度が少ない=安心」とは限りません。万が一不具合が起きた際に、部分的な交換が難しい器具構成だと、空間全体の印象を損なうことがあります。

初期計画の段階で、将来的な交換や調整がしやすい構成になっているかを確認することが、長期的な空間品質の維持につながります。

まとめ

LED化はスパ体験を高めるための手段

ホテルスパ照明のLED化は、省エネやコスト削減のためだけに行うものではありません。正しく計画すれば、従来以上に繊細で質の高い光環境を実現することができます。

大切なのは、明るさや効率ではなく、利用者がどのように光を感じるかという視点です。LEDを「便利な光源」としてではなく、「体験を支える素材」として扱うことが、後悔しないホテルスパ照明計画につながります。